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Suertes del marques

by jonatan garcia lima, tenerife, canary island

バルセロナのナチュラルワイン・バーの殆どにオンリストされ、その少ない生産量が毎年取り合いになっているスエルテス・デル・マルケス。テネリフェ島の神秘的なテロワールから生まれる液体は、その弾けるような味わいについつい、躍動感...生命力...などといった、大袈裟な言葉を使いたくなる。不思議な魅力をもったワインだとおもう。
 

カナリア諸島の中でも最も大きい島であるテネリフェ島は、強い乾燥と強風、そして水捌けのよい火山性土壌のテロワール。東京都ほどもの大きさのある島の中心部にはテイデと呼ばれる3700M級の山があり、その北側に位置するオロタヴァ渓谷に拡がる急斜面のぶどう畑、DO.Valle de laOrotavaに彼らはワイナリーをもつ。

 

「トレンザード ”編み込み” 仕立てのコルドン、たぶん世界でここだけの仕立てだよ」複雑に絡み合った奇怪なぶどう樹に唖然としていると、ワインメーカーのジョナタンが幾つかの株 (というより最早樹、というかんじだ) を指差して教えてくれた。低く仕立てられたコルドンの梢を毎年編み込むように仕立てていく。10mほどのレーンに拡がるアームを眺めていると、なんとそれらがすべて1つの樹から伸びていることに気が付いた。おどろいた。フィロキセラが到達できなかったカナリア諸島のぶどう樹はその殆どが自根。樹齢の高い樹も多く残っていて、彼らの畑は70-120年樹が現役。現代ワインメイキングの世界においては高樹齢=高品質という神話も崩れ去りつつあるけれど、実際に目の当たりにするそれこそ神話のような樹々たちには凄みというか、迫力というか、説得力があった。農薬の使用はなく、強風の恩恵で防除の必要もない。

 

野生酵母による自然発酵。亜硫酸コントロールは必要に応じて適切に管理している。アイランドワインのライジングスターとして評価されていることには、幾らかぎこちなさを感じているという。「“そういうの”を目指している訳じゃない」ジョナタンはクールに言う。勝手なイメージというか、やっぱりカナリアだし、もっとぱっぱらぴーな人物を想像していたのだけれど、予想に反してずいぶんと真面目そうな男だった。
 

ちなみにカナリアは常夏ではなく、常春の島と言われる。これも多くの人が誤解しているところで、気温は年間を通じて17-25°Cほど。ilas canarias は“犬の島”という意味だ。きっと、昔はたくさんの犬が住んでいたにちがいない。いったいどんな犬たちだったんだろう。